矛と盾
矛と盾、つまり「矛盾」。
辻褄が合わないこと、という意味でいまでも日本語で使われていますが、
実はもっと深い意味があるのです。
もともとは「韓非子」という大昔の先生の言葉であります。
矛盾のおはなし
◆どんな盾を貫いてしまう矛(槍のような武器)
◆どんな矛でも防いでしまう盾
このどちらも一緒に売っていた武器商人に、
■その矛と盾をぶつけたらどうなるのか?
といわれてしまうお話です。
言っていることのつじつまが合わないことの寓話(お話、ストーリー)仕立てで簡潔で分かりやすい。韓非子先生の本領発揮なところです。
学校なんかで習う漢文なんかですと、「矛盾」のお話はここで終わります。
真意は別にある
ところが、韓非子先生は商人がやり込められるというとんち話を作るのが目的だったわけではありません。
韓非子先生は先の「矛盾」のように実現不可能な事を聞いて踊らされるな、という事を主張するためにわかりやすく寓話を作ったのです。
武器商人はできもしない事なのに(つまり嘘ということですね)
「うちの盾はどんな矛をも貫けないぃいいいいいいいいいいいいいい!」
と売りたいが為に客を呼び込んでいるわけです。現代で言えば
「うちの食品は食べても絶対太らないぃいいいいいいいいいいいいい!」
みたいな感じでしょうか。
できもしない事なのに、沢山の人からなんだかそう自信満々に言われると「え、いいかも」って思う人が出てくるんですよね。
現代の私たちの時代でもこういうことってありませんか?
よく考えればあれ?それっておかしくない?という営業文句も自分の歓心がくすぐられるとコロッといってしまうことってありませんか?
「矛盾とは」
韓非子先生は、
実現不可能な事なのに、沢山の人から大きい声で毎日聞かされるとそれが真実なのかのように誤解してしまう。それが本物なのか偽物なのかよく吟味しないとだめだということを言っています。そして偽物をさも本物のように刷り込んで来る人達を批判しています。
僕は漢文の勉強の時間にここまで説明があればもっと面白いのになあと思います。
「なんだ、昔と今とで変わらないじゃないか。」
「そしてこの説明は実に理にかなっていて面白いな。」
って感じる人がいると思いますもの。
今を生きる現代人に刺さる言い回しで古典・名言をご紹介できればと思います。
それでは!